大航海時代の船乗りが、地球が球体であることを、「知っていた」かどうかは、知らない。このまま西へ航海し続け、陸に出会ったならそれを避け、さらに西に進めば、もとの港に着くことが出来る、ことが確信できなければ、そんな危険な航海に出ることができなかっただろう、とは想像できる。
つまり、地球球体説は、「無限」を、「無限」に伴う「禍々しさ(まがまがしさ)」を、除去したのである。
「無限」を回避する方法は二つあって、一つは有限確定値への「収束」、もう一つは有限確定値の間の「振動」。
例えば「生命」というのは、同じことを繰り返しながら、次第に「収束」していく、減衰「振動」といえる。

平面上の「無限」は、立体化することで、次元を一つ増やすことで、回収することができる。ここに「無限」を、取・り・込・ん・だ・立体、「リーマン球面」というのがある。

(0,0,a)を中心とし、半径aの球がある。この球のいわば「北極」(0,0,2a)と、x-y平面上の任意の点とを結ぶ直線は、必ずこの球面と交差し、こうして、
x-y平面上の1点と、球面上の1点との間に、「一対一対応」が成立する。
x-y平面上の1点は、どこまでも遠くにとることが出来るが、これに対応する点は、いつでも(!)球面上にある。「無限」を含んだ平面が、・・・、例えば手のひらにでも載る球体に、回収することができた。

「平面」はその四周に無限の広がりを持っているが、「無限」を描くことが出来ないので、私たちは、便宜的に、長方形のようなものを用いている。従ってこの長方形の四周は、「無限」に向かって広がっている。
長方形の4辺の、ほんの一部でも含んでいる区画は、「無限」に向かって「開いて」いるから、「開区画」と呼ぶことにする。
上の条件を満たしながら、「平面」をすべて「開区画」によって構成しようとすると、最大3つまでしかとることが出来ない。長方形の真ん中に一つの点をとり、そこから「外」に向かって「無限」にのびていく「線」を考えると、そのような線は、3本までしか引けない。4本引くと、点を挟んで向かい合わせの区画が、互いに隣接しないことになってしまうからだ。
   

・・・と言ったが、その四周の「無限」を、ずっとその先で一点に「収束」させ球体に対応させると、上の3つはそれぞれ、

に、な・る・。
   
も、楕円を囲む境界線が、ぐにゃぐにゃの輪ゴムのような伸縮自在なもので出来ていると考えて、球の大円に至るまで押し広げる、と考えれば、それぞれ、

にな・る・。
を経て、になる。
平面を4つの区画で塗り分ける、
   
は、すべて、これ(↓)、地球を経度0度と、東経180度すなわち西経180度の経線からなる大円でま・ず・二分し、次に西半球は西経90度の経線で、東半球は赤道(緯度0度)で二分する、
と言うような4分割をした球面に、対応させることができる。下の2図は、北極―南極を軸に、相互に180度回転したものを表している。

相互に隣接していない区画をもつ場合、
は、に、
は、を経て、になる。

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